この戦略を理解するには、まずは売上を作る方程式を知る必要があります。
おはようございます、パワー店長養成講座の小宮秀一です。
売上を作る方程式とはこの式のことです。
売上=客数×客単価
この方程式には売上を上げる戦略が詰め込まれています。それは売上を上げるには客数を増やすか、客単価を上げるか、2つしか方法はないという事実です。
つまり、売上を上げるのに、アルバイトをクビにする必要もなければ、スタッフをやる気にさせる必要すらないわけです。
特にコロナ渦で失った売上を取り戻したいなら、客数と客単価だけに集中してください。
コロナ渦で失った売上を取り戻す戦略と具体的な戦術
売上を作る方程式、客数×客単価は因数分解した方が使いやすいです。
たとえば次のように――
売上=(新規客数+顧客数×購入回数)×客単価
この式が王道の式です。なぜなら、商売とは顧客を増やすことだからです。
ただ、顧客管理をしていない店は使えません。私なら、どこの誰が、いつ、何をいくら買ってくれたかわからない商売は怖くてやりたくありません。
それでも、顧客管理をしていない店が圧倒的多数なこともわかっています。そのような店の場合は、便宜上、次の式を使うことをお勧めします。
売上=来店客数×買上率×客単価
ただし、あくまでも顧客管理をするまでの仮の式だと言うことを覚えておいてください。なぜなら、商売とは顧客を増やすことだからです。
次に、それぞれの意味を説明したいところですが、顧客云々と言う話は評判が悪いので割愛します。
売上=来店客数×買上率×客単価
それぞれの意味は次の通り――
- 来店客数
店に来るお客様の数です。 - 買上率
来店したお客様のうち、どのくらいのお客様が買い物をしたかを表す比率。買上率の詳細は買上率の真実を見てください。 - 客単価
お客様一人当たりの平均購入金額
この式から言えることは、売上を上げるには、来店客数を増やすか、買上率を上げるか、客単価を上げるか、3つ方法があるとわかります。
この3つの数字は、それぞれ独立した数字です。独立した数字と言うことは、それぞれが影響を与え合わないと言うことです。つまり、来店客数が減ったからと言って、買上率と客単価には変化がないと言うことです。
したがって、売上を上げるには、この3つの数字をフォローしておけばいいと言うことです。
どこから始める?
この3つの数字、どこから手を付けていけばいいのでしょうか?
その答えは次の質問でわかります。
あなたの店、今この瞬間、お客様はいますか?
もし、お客様が一人もいないのなら、来店客数を増やすことが最初です。
来店客数を増やすには、店頭で、ロスリーダーを告知するか、または、割引券を配るのが手っ取り早いです。
もし、お客様がいるなら、客単価と買上率を上げることから初めてください。
今、売場にいる、買い物に来たお客様にもう少し多く買って頂くか、冷やかしのお客様に1品でも買って頂くことから取り組みましょう。
これが速攻で売上アップできる方法です。
客単価と買上率を上げる3点セット
客単価と買上率を上げるにはセット販売、限定、POP(キャッチコピー)の3点セットがお勧めです。
セット販売
私はパソコン販売史上、初めてセット販売を行った一人です。パソコンの黎明期、パソコンを使うには本体とデータレコーダー、家庭用テレビアダプタが必須でした。それなのにアキバのどこの店もセットでいくらと出していなかったのです。
私はデータレコーダーの仕入れ先に「セットでベタ付けするから」と言って安くしてもらいました。そして、当時の売れ筋、富士通のFM-7をセットで売ったところ、大ヒットして、たっぷり儲けさせてもらいました。
私はセット販売には成功体験しかありません。ピンチになるとセット販売で切り抜けてきました。
私が自分をバカだと思うのは、ピンチにならないとセット販売をしなかったことです。常にセット販売をしていたら……とは、考えても意味のないことですね。
限定
限定とは、オファーの供給を制限することによって希少性を高めることです。今スグ売上が必要なら「本日限り」や「タイムセール」を使い倒しましょう。
オファーとは商品や特典、保証や値引きなどを含めた取引条件のことです。お客様は商品を買うのではありません。オファーを買うのです。
限定については最近書きました。こちらを見てください。
POP
POPを付ければ売れます。と言うのは、私が2001年から言っています。
ただ、正直に告白すると、売れるのはPOPを付けたからではありません。だって、POPを付けても売れない店は山ほどありますからね。
POPを付けて売れる理由は、お客様にとって魅力的なメッセージが書いてあったからです。
たとえば、私が最初にセットで売ったPOPには次のメッセージを書いていました。
「これだけあれば使えます」
どういう意味かわかります?
パソコンのデモ機には20万円する専用モニターが一緒に展示されていました。お客様の多くが、10万円のFM-7を使うのに、本体の倍の価格のモニターが必要だと思い込んでいました。まさか、テレビに映すことができるなんてほとんどの人が知らなかったのです。
つまり、30万円ではなく、半額の15万円でパソコンが買えると、お客様は、私のPOPで気づいたのです。その証拠に、どのくらいの映りなのかよく聞かれました。その対策としてテレビをPCの近くにおいて見られるように設置しておきました。
もし、メッセージが「これだけあれば使えます」ではなく、「セット特価」だったらまったく売れなかったでしょう。
事実、最初の1週間は「セット特価」と書いていましたが、一つも売れませんでした。売れ始めたのは「これだけあれば使えます」に替えた直後でした。
まとめ
私はこの時の経験から、売上を上げるのはセットでも、POPでもなく、メッセージなのだと確信しました。
ただ、私はこの気づきを自分のものだけにしていました。人に知られたくないから、困ったときだけ使っていたのです。
私が今この仕事をしている理由はその時の反省もあります。
ごめんなさい――あの時、助けて上げられなくて……。
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