「クレーマーは出入り禁止にしろって言うけど、あなたは出入り禁止にしたことはあるの?」と言う質問を頂きました。
はい、もちろんあります。私は現役時代に一人、それから洋品店の店長をしていたときに一人、出入り禁止にしたことがあります。
なぜ、私は出入り禁止にしたのでしょうか?
それは、スタッフの解雇を要求したからです。「あいつをクビにしろ」ってヤツです。
なぜ、クレーマーは店員をクビにしたがるのか?
こう言うクレームって社会的地位が高い人が言うイメージがあります。しかし、それは偏見です。
私たちが相手だと、社会的地位に関係なく、全員がこのような傾向を見せます。なぜなら、店員の地位はホームレスよりも低いからです。
残念ですが、これは事実です。だって、店の仕事をするのに学歴も資格も必要ないから。ほとんどの人は店員は誰でもできるカンタンな仕事と考えています。
つまり、私たちはほとんどの人から見下される立場と言うことです。
したがって、辞めさせるくらいの処分をさせないと、「傷付いた自尊心と釣り合わない」と考える人がいるわけです。
クレーマーからスタッフを守る理由
これは決して、「スタッフを守るのが店長の仕事」と言いたいのではありません。まして、スタッフに媚びを売るためでもありません。
スタッフの解雇は店長の権限だからです。これをクレーマーに握られたらどうなるかを考えてほしいのです。
「あの店は、気に入らない店員を俺たちがクビにできる」という噂が飛び交うかもしれません。断ろうにも「前はクビにしたじゃないか」と言われたら説明に困ります。
求人にも不利になるかもしれません。「お客様にクレームを言われたらクビ」という噂が広まったら、怖くて誰も働けないでしょう。
このような客は、私たちからすると危ないので、縁を切っておくことをお勧めします。
出入り禁止を通告する方法
ここからは出入り禁止を通告する方法をご案内します。クレーマーの要求は「小宮というスタッフを辞めさせろ!」を例にします。
- クレーマー認定
- クレーマーの要求を明確に拒否
- 出入り禁止を通告
- 退店を要求する
- 万が一、クレーマーが来店したら警察に通報
クレーマー認定
クレーマーの要求をもう一度、確認します。
「辞めさせろ」が要求なら、「それは小宮を解雇しろと言うことですか?」と質問します
普通は口が滑っただけなので「そこまでは言っていない」と返ってきます。しかし、ここで「そうだ」と言われたらヤツはクレーマーです。
クレーマーの要求を明確に否定
次に「(クレーマーの要求)はできません」と明確に否定します。
私たちは「解雇はできかねます」とか言う、柔らかい否定表現を使いがちです。このような表現は相手に反論の余地を与えてしまいます。
しかし、相手は既にお客様ではないです。ただのクレーマーです。ココからは相手が誤解することがないように明確に言うことを心がけましょう。
ここで言葉を切ると「どうしてだ?」と理由を聞かれます。
「解雇しろ」に対しては理由はカンタンで、店で起こるクレームで解雇事由になるようなことはないからです。
万が一、聞かれたら「小宮がやったことが解雇に当たるとは思えないからです」と答えればいいでしょう。これはクレーマーにケンカを売っていますが、お客様ではないのでいいでしょう。
出入り禁止を通告
「どうしてもと言うなら、あなたを出入り禁止にします」と通告します。
こう言うと相手は怒り狂います。何しろ社会的地位の低い人間に言われるのですから。
それでも、ココは譲ってはいけないです。頭は冷静に、しかし、相手より大きな声で言い返しましょう。
この場合、クレーマーの反論とその応酬話法は次の通り。
「消費者センターに訴えるぞ」「どうぞ」
「人権侵害で訴える」「どうぞ」
「店が客を差別していいのか?」「店にはお客様を選ぶ権利がある」
「納得できない」「納得してもらう必要はない」
まあ、出入り禁止を通告されるなんて普通思ってないのでまともな反論は出てきません。
ここでは応酬話法より重要なポイントがあります。それは声の大きさです。声の大きさで負けないようにしてください。
そもそも、怒りで声が大きくなるのは、敵――この場合は私たちです――に、「自分は強いんだぞ」と見せつけるためです。しかし、相手は所詮、素人さんです。プロの声量には勝てません。
店長クラスなら発声訓練を伴う研修を受けたことがありますよね。それを思い出して、腹から声を出せば相手を圧倒できます。
相手がお客様だと思うと、こちらも声が小さくなりがちです。しかし、クレーマーだと思うと声も大きくなるから不思議です。
退店を要求する
出入り禁止を通告した時点で、クレーマーは不法侵入と言う犯罪を犯すことになります。丁寧に、しかし、明確に店から出て行って頂くように通告しましょう。
「お客様、出入り禁止と言うことは、今、あなたは不法侵入と言う犯罪を犯しています。速やかに当店の敷地から出ていってください。そして、二度と来ないでください。万が一、来店されたら警察に通報します」
ただし、退去を迫る場合も、相手の身体には触れないように注意してください。触れただけで「傷害罪だ」と騒ぐヤツがいるからです。あくまでも、言葉で言うだけにしてください。
何か言われても無視が無難です。「当店の敷地から出ていってください」と繰り返せばクレーマーも引き下がります。
場合によっては手が出ることもあります。私は頬を平手打ちされたことがあります。ただし、やられても決してやり返してはいけません。部下に警察に通報するように指示して、速やかに逃げましょう。
こうなった時点で既に、相手はクレーマーではなく、ただの犯罪者なのですから。
万が一、クレーマーが来店したら警察に通報
ココに関しては、これ以上、付け加えることはありません。
最後に……
クレーマーは事務所に案内して対応すべきと言いますが、私は反対です。
なぜなら、誰もいないところで対応したら、あることないこと言われる可能性があるからです。私はクレーマーは信用できません。
クレーム対応は、人目があるところ、あるいは防犯カメラに映るところで対応することをお勧めします。
通常のクレーム対応は……
私はお客様相談室も担当したことがあります。その経験を生かしてクレーム対応の電子書籍を書こうと思ったのですが、既に良書が出ています。これ以上のモノは書けないのでお勧めしておきます。
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