10年下積みって,どう考えてもおかしいと思うのです。
おはようございます、パワー店長養成講座の小宮秀一です。
私は下積みってヤツが嫌いです。
たとえば、寿司職人として一人前になるには「飯炊き3年握り8年」と言われ、10年以上修行しなければならないそうです。
コレって「なりたい人」が一杯いる時代の名残ではないでしょうか?
供給が増えれば価格が下がります。つまり、寿司職人の価値を維持するため、下積みという名目で「人が増えないようにしている」と私には思えるのです。
なぜなら、一人前になるのに10年以上かかるって、どう考えてもおかしいからです。
10年以上下積みがおかしいと思う理由
寿司職人がカンタンな仕事とは思わないですが、それでも飯炊きに3年掛かるほど難しい仕事とは思えないです。
もし、本当にそれだけ時間が掛かるとしたら、仕事を行動分解していないのだと思います。
行動分解とは、複雑な仕事も、これ以上単純にできないという単位まで切り分ければカンタンになるという考え方です。私はプログラミングで知りました。行動分解の詳しいことはこちらを読んでください。
飯炊きがどれほど難しい仕事でも、小さい単位に分割すればカンタンになります。たとえば、飯を炊くには、お櫃から釜に米を移す作業、米に水を入れる作業、米を研ぐ作業、水を捨てる作業、研ぎ終わった米に適量の水を入れる作業等々。このくらい手順を細かくしたら、個々の作業は難しいモノではないとわかります。
実際、職人の技術というのは行動分解すれば誰でもできるようになります。私の思い込みではありません。それを証明したのは、行動分解の元祖とも言える大企業、アップルです。
アップルが職人の技術を奪う?!
アップルがまだiPhoneを世に出す前、iPodが市場を席巻していました。その頃、「アップルが職人の技術を奪った」というニュースがありました。私は当時、テレビ東京系のニュース番組、WBSで見ました。
iPodの裏蓋には鏡面仕上げがされていました。この仕上げは、新潟県燕市の中小企業の職人が手作業で磨いたモノでした。
以前、「世界でこの街の職人しかできない技術」とビジネス誌は持ち上げていました。日本の強さの象徴としていました。
しかし、アップルは行動分解の本家のような企業です。アップルは職人の仕事をビデオに撮り、行動分解して、人件費が安い国に移植しました。
WBSはアップルの下請けいじめとして取り上げていました。しかし、コレに関しては職人の対応の方がどうかしていると思うのです。
なぜビデオに撮らせたのか?
なえ、仕事をビデオに撮らせたのでしょうか? 自分たちの技術はカンタンに真似できるモノではないと思っていたのでしょうか?
おそらく職人たちは、行動分解という技術を知らなかったのでしょう。
知っていたらもっと多くの職人を育てることができたかもしれません。あるいは、自動化できたかもしれません。そうしたらアップルの望む需要を満たすことができて、「研磨業者約20社が1日で1万5000~2万台も磨き上げていた」iPodの仕事は消えなかったかもしれないです。
もっとも、今になって思えば、iPodが消えるのは必然です。iPodはiPhoneに置き換えられたので。
下積みが必要な職人の世界は、行動分解をやられたらひとたまりもないでしょう。
職人になりたいのか?
そもそも、修行する人って、職人になりたいのでしょうか? 手に職を付けて、独立したいのではないのでしょうか?
もし、独立したいのだったら職人になる必要はないです。なぜなら、職人は雇うことができるからです。
独立したいのなら職人になるよりいい方法があります。
それは販売を学ぶことです。なぜなら、職人だって物を売らなければならないからです。
販売を知らない職人は,誰かが仕事をくれるのを待つことしかできません。だから、安く買い叩かれますし、尊敬もされないです。
鏡面仕上げの仕事は職人がアップルに提案したモノではありません。そのような仕上げにしたいとスティーブ・ジョブズが言い出し、全世界で方法を探していたところ、たまたま日本で見つけたわけです。
一方、販売を知っている職人は鏡面仕上げの需要を作ろうとします。だから、高く売ることができて、尊敬されるのです。
あなたの近くに職人がいるなら……
もし、あなたの近くに優秀な職人がいて、彼、または彼女が、販売が苦手なら、あなたが販売代行を請け負うのはどうでしょうか?
何しろあなたには店という販売スペースがあるのですから。かつてパソコンショップがベンチャー企業に売場を提供していたように。
コメント