思わず、口から出そうになった言葉を、私は何とか飲み込むことに成功しました。
おはようございます、パワー店長養成講座の小宮秀一です。
「社員二人なら黒字になる」とは、私の店が、6ヶ月連続で前年を割ったときにリストラ屋に言われたことです。
リストラ屋とは、売場のことなど気にしたこともなく、冷暖房の効いた快適なオフィスで、エクセルとパワーポイントを操る連中のことです――
社員二人なら黒字になるだって?あんたら、バカか?!
リストラ屋は前年を割り続けていると、ココぞとばかりしゃしゃり出てきて店をメチャクチャにします。
私がいた会社はヤツらにメチャクチャにされ、消えてしまいました。
ダイエーが消えたもヤツらのせいです。
一度メチャクチャにされたら、立て直すのが不可能に思えるほど、難しくなります。
ヤツら、リストラ屋は、どうやって店をメチャクチャにするのでしょうか?
リストラ屋が店をメチャクチャにする方法とは?
それが人員削減です。
「売上に見合った分だけ人を減らせ」というヤツです。
私の場合、前年割れが6ヶ月続いた時に言われました。 私がパソコン専門店の店長をしていたときのことです。
6ヶ月は私の経験でもかなり早いタイミングです。普通はこんなに早くヤツらが出てくることはありません。
だって、ヤツらは自分たちを救世主だと思っているから。救世主が登場するのはクライマックスと決まってます。
それなのに、なぜ、こんなに早く出てきたのだと思います?
理由は2つ。
一つは、前年割れの幅が7掛けと大きいこと。そしてもう一つの理由が、前年を割っていたのが19店舗中私の店だけだったからです。
だからこそ、自分たちの出番だと思ったのでしょう。
「ダメな店長を助けてやるか」って具合に。
私は本社に呼ばれ、リストラ部門の幹部たちと会議室で面談することになりました――
リストラ屋との面談
私が呼ばれたのは、普段、私たちが使っている三階の会議室ではなく、七階の会議室でした。
その会議室には、高そうな椅子とテーブルが設置されていました。八階の社長室の隣にある、役員用の会議室よりも豪華でした。
その会議室に通された私は、パワーポイントで作った資料を渡され、「そんなこと、わかっている」的な店の現状を長々と説明されました。
そして15分後、ようやく「売上に見合った分だけ人を減らせ」と言われました。
どうしてヤツらは結論を最初に言わないのでしょうか……。
資料の最後のページにはエクセルでシミュレーションした表が載っていました。そこには社員を2人にすれば黒字になると書いてありました。
それを声にして言われました――
「社員を2人にすれば黒字になる」(ドヤッ)
勘違いしないでくださいね。
社員を2人にして、他をアルバイトとパートでしのげというのではありません。
社員2人で運営しろと言っているのです。
私の店は390坪あります。
「あんたら、バカか?!」と、思わず口から出そうになった言葉を、私は何とか飲み込むことに成功しました。
ココにいる人、私以外、全員大学を出ています。しかも、全員が経営の専門家を自称しています。
それなのに390坪の店を、しかも接客販売の店を、本当に2人で運営できると思っているのでしょうか?
そんなこと、大学を出ていない私にもわかるのに。 私は思ったままを口にしました……
「390坪の店を2人で運営できると思いますか?」
これに対して、返ってきた返事は驚くべきモノでした。
「そんなことは知らない。店の運営はそっちが考えることだ」
「はあ~」と心の中で思いました。
こんな連中の言うことを聞いたら店がメチャクチャになる――私は危機感を感じました。
社員2人で390坪の店を運営できるわけがないのです。
私は半ばキレ気味で覚悟を決めました。そして、次のように啖呵を切ったのです――
「人は減らしません。その代わり売上を上げます」
すると「売上なんて、カンタンに上がるもんじゃないだろ!」とそれまで黙っていた一番偉い人が。
白髪交じりの頭髪をオールバックにした、一番偉い人に向かって、私は「それでも社員2人で運営するより可能性はありますよ」と皮肉を言いました。
一番偉い人はムッとしたようで「わかった。責任は君にあるからな」と言って一番先に会議室を出て行きました。
会議はそれで終了です。
同時に私も「もちろんです」と言って席を立ち、2番目に会議室を後にしました。資料は置いたまま出てきました。
私が社員2人を受け入れていたら責任を負わされることはなかった?
いいえ、そんなわけがありません。売上が悪ければ、どっちにしろ責任を負わされるのです。だったら、社員2人より、売上を上げる方が可能性はずっと高いと考えたのです。
そしてそれは正しかったのです。当たり前っちゃあ、当たり前ですが。
結果は私の勝ち
その翌年、私の店は前年を上回った19店舗中、たった2店舗のうちの一つになりました。
私がやったことは単純です。
店作りの基本の徹底です。
しかし、もし社員2人だったら基本の徹底など出来なかったでしょう。人がいたからこそ、基本の徹底が出来て、前年、前々年を上回ることが出来たのです。
店は人員削減を叫ぶ連中に主導権を握らせてはダメなのです。そうなったら店はマジで終わります。
そうならないためには、最低限、前年割れに歯止めをかけなければならないです。
P.S.
もし、あなたが前年割れに歯止めをかけたいなら、店作りの基本を徹底してください。 ちなみに、売上に直結する店作りの基本は8つだけです。
コメント