商売は仮説検証の繰り返しです。
こうなるのではないか?と言う仮説を実行し、結果を検証する。そして仮説通りなら続け、違っていたら止めて次の仮説に取り組む。
これが小売の商売です。
似たような考え方にPDC、あるいはPDCAと言うのがあります。しかし、小売ではPDCやPDCAではなく、仮説検証という方が一般的です。
仮説検証という言葉はセブンイレブンジャパンの実質的創業者鈴木敏文氏が世に広めました。だから、彼らの同業他社では敢えて使わないところもあるようです。
それでも、この仮説検証と言う言葉、私が知る限り、50年以上前に出版された販売の科学という本が最初はずです。別に鈴木敏文氏に著作権がある言葉ではないと思うのですが……。
なぜ、PDCAではなく、仮説検証なのか?
なぜ、小売の現場では、PDCAではなく、仮説検証が使われるのでしょうか?
それは、PDCAは小売の現場ではまどろっこしいからです。
PDCAは次の4つのステップの頭文字です。
- Plan(計画)
- Do(実行)
- Check(検証)
- Action(行動)
まず、仮説に基づく計画を立て、実行し、結果が出たら検証し、それを元に次の行動を決めるという考え方です。
PDCAは失敗すると大損する商売向けの方法です。たとえば、商品を製造するメーカーさんとか。
商品を製造するには半端ではない金が掛かります。また、企画、設計、試作、製造、販売、サポートと言った、多くの人たちとの共同作業です。だから、PDCAの各段階毎に会議を行いながら仕事を進めなければならないです。これは誰か一人が責任を取らなくて済むための仕組みと言えるでしょう。
一方、仮説検証の方は失敗してもたかがしれている商売向けの方法です。仮説を思い付いたら、考えるより売る(「やる」ではないことに注意)。考えるのは売ってからと言うのが仮説検証の本質です。なぜなら、小売の場合、お客様は目の前にいるので、考えるより、売ってみる方が早いからです。
このことを私は「考えるな!売れ」と表現しています(もちろん、あれのパクりです)。
小売の場合、たとえ仮説が当たらなくても――商品が売れなくても――大した損にはならないです。ほとんどの商品は安くすれば売り切ることができます。それに売れる商品は他にいくらでもあるわけで……。
意味のある仮説検証のポイント
仮説検証には2つポイントがあります。この2つのポイントを外すと仮説検証の意味がありません。
一つは数字で検証できることです。なぜなら、数字で検証できることは必ず改善できるからです。
もう一つは、改善可能な仮説であることです。改善できない仮説、または改善するのに時間が掛かる仮説は意味がありません。なぜなら、小売の現場は結果が早く出ることが最大のメリットだからです。
あなたは意味のある仮説の作り方はご存じですか?
当たり前?
では、次のクイズに答えてみてください。
クイズ:この仮説検証はありか?なしか?
次の仮説検証は意味があるか?それとも意味がないか? それぞれ理由を答えてください。
仮説:新商品を週末に40個売る
検証:40個売れた
コメント