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お金を扱うスキル

店長の最低限の使命は、「与えられた経営資源を活用して利益を上げること」です。つまり、経営の知識を持っていなければ、店長は務まらないわけです。

ここで取り上げるのは、経営の知識の中の「お金を扱うスキル」です。もっとも、そんな大げさな話ではありません。ごく基本的な話です。

あなたは、自分の店がいくら儲かっているか、あるいは、いくら損を出しているか知っていますか?

「当たり前じゃないか!」と怒る人もいるかもしれません。しかし、店長の肩書きを持つ人でも知らない人は少なくありません。雇われ店長ならまだしも、オーナー店長の中さえ、「会計士に聞かないと・・・」と言う人がいます。

これ、冷静に考えれば恐ろしいことですよね?

儲かっているのか、損を出しているのかも知らずに商売するなんて、行き先も知らずに宇宙旅行に出るようなものではないでしょうか。

雇われ店長の場合、儲かっているのかどうかを知るのはカンタンです。損益計算書を見ればいいのです。

もし、「損益計算書なんて見たことない」のであれば、それは見せてくれと言わないからです。見せてもわからない奴に見せるのは無駄以外の何者でもありません。だから、もし、あなたが損益計算書を見たことがないのであれば、店長として信用されていないと言うことなのです。逆に言うと、「損益計算書を見せてくれ」と要求することは、店長としての信用を得る第一歩だといえるかもしれません。

「損益計算書なんてわからない!」

「それくらい勉強しましょう!」と言う方がこの手の文章ではカッコいいのですが、私たち店長のミッションは、与えられた経営資源を使って利益を上げることであって、損益計算書の読み方を勉強することではありません。はっきり言って、損益計算書が読めても、店長の評価には何のプラスにもなりません。せいぜい、マイナスがゼロになる程度のものです。ですから、本を読んだり、セミナーに参加したりと言ったことは時間の無駄なのでやめましょう。損益計算書の読み方がわからなければ、知っている人に聞けばいいのです。社内には経理の専門家がいるはずですからね。

商売は費用対効果である

損益計算書とは、思いっきりカンタンに言えば、いくらお金(経費)を掛けて、いくら収入(売上)があったか、そして、残り(利益)はいくらかを表したものです。ここには商売の本質があります。

商売とは、「いくらお金を掛けて、いくら儲かったかである」と言うことです。つまり、商売の本質は、費用対効果なのです。

例えば、1億円掛けてテレビスポットを打ったとしましょう(一店長にできることではないのは承知してます。あくまでも例えば話です)。その結果、10億点の売上が上がったとしましょう。粗利が20%だとすると、粗利額は2億円です。2億円からテレビスポットに掛けた費用1億円を引いても、手元には1億円が残ります。この場合、1億の費用を掛けて、2億の粗利という効果を得たわけです。

店には様々な数字があります。売場の係数と言うテーマだけで1冊の本が書けるくらいです。でも、そうした数字も、突き詰めれば、全て費用対効果なのです。家賃も、人件費も、販促費も、全ては費用であって、結局、手元にいくら残るかが勝負なのです。

なぜ、こんな当たり前のことを言っているのかと言うと、商売に関わる数字の中には、費用対効果と直接結びつかない無意味な数字があるからです。

例えば、ダイレクトメールのヒット率は3%と言います。これ、誰が言ったか知りませんが、全く意味のない数字です。Eメール・マーケティング・システムのセールストークにも使われています。「通常、DMではヒット率3%あればいい方ですが、Eメールなら10%以上のヒット率があります」なんて具合にです。私、商売柄、こうした連中とは付き合いがありましたが、「そんな数字、意味ないだろ?」と言うと、「そうさ、何の意味もない」と答えました。

そもそも、郵政省メールにしろ、電子メールにしろ、ヒット率は、メールで何を言うかによって大きく変わるものです。

私がいた会社では、バースデーメールを送っていました。内容は、「このメールを持参すれば、2,000円分のお買い物券をプレゼントします」と言うものでした。こうした内容のメールならヒット率が高くなるのはある意味当たり前です。お客さんには何のリスクもありませんからね。このメールのヒット率は30~60%でした。ちなみに、この幅は、店舗による差です。当時、17店舗ありましたが、同じ内容のメールでも、店舗によって、これだけ差が出るわけです。ヒット率がどれほど意味がない数字か、というのは、これでわかると思います。

で、この場合、費用対効果はどうかというと、サーバーに関わる費用は固定です。メールを何万通送ろうとこのコストは変わりません。もちろん、このサーバーは、ダイレクトメール専用ではないので、実質、費用はゼロなわけです。つまり、もし、メールで1円でも売上が上がるなら、費用はゼロなんですからやるだけ得、というか、やらなきゃ損なわけです。

商売で、唯一意味のある数字は、費用対効果だけなのです。

注)受信者が必要としない情報を送り続けていると受信拒否されてしまいます。そうなると元も子もないので、やはり誰に送るかと言う絞込みは必要です。必要とする人に、必要とする情報を送るべきです。むしろ、一般のダイレクトメールより、Eメールの方がこの辺はシビアに考えるべきです。

粗利額を第一に考えよ!

商売にはたくさんの数字がありますが、私たち店長にとって、最も重要な数値は粗利額です。粗利率ではありません。

なぜ、粗利額かと言うと、店の場合、費用の多くが固定費だからです。これは、店の損益分岐点を計算すればすぐにわかります。店の場合、費用に占める変動費の割合は微々たる物です。そして、固定費の多くを占めるのが家賃と人件費です。要は、これを足した粗利額を稼ぐことを最低限の目標にすればいいわけです。

事業計画を立てるときは、この情報が欠かせません。私がいた会社は、店長や売場責任者が事業計画を立てることができましたが、最低限、基準になる数字が家賃と人件費です。この額をクリアできなければ、店が黒字になるわけがありませんからね。

数字にうるさい会社は、多くの数字の指標があります。ただ、現実問題、全ての数字をクリアするなんて、なかなかできるものではありませんし、何より、一度にそんな多くの数字を意識していたら身動きが取れなくなってしまいます。

目標は、単純なほどいいのです。ですから、店長が重視する数字は粗利額を第一にして、それ以外の数字は、月に1度くらい気にする程度にした方が、より動きやすくなると思います。

初出:2003年11月25日「Manager-NET通信」

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