「口コミ」が最大の宣伝ツールであることは異論はないでしょう。しかし、口コミほど曖昧に使われてきた概念はありません。ある店舗デザインのコンサルティング会社が改装の提案をしたときのことです。
「御社の言うとおりの改装すると、どうして売上が上がるんですか?」
「お客の心理や行動を分析したレイアウトですから、お客様が今までもよりも買いやすくなるからです。」
「いや、うちはお客さんが来なくて困っているんですよ。いくら買いやすくてもお客さんが来なけりゃ話にならないじゃありませんか。」
「買いやすくなれば、口コミが起こるじゃありませんか」
「あの店は買いやすいなんて、お客さんが口コミするんですか?」
私には、お客さんがそんな口コミをするとは思えませんでした。事実、この改装で売上は上がりませんでした。
多くの場合、口コミは最後の逃げ場に使われています。誰も確かめることができないからです。しかし、口コミを現場の私たちにも腑に落ちる方法で分析した名著があります。
ティッピング・ポイント
著者:マルコム・グラッドウェル
出版社:飛鳥新社
ティッピング・ポイントとは、あるアイデアや流行、社会的現象が、ある敷居を超えて一気に流れ出し、野火のように広がる劇的な瞬間のことだそうです。
口コミについて書かれている本はたくさんありますが、全てこの本を下敷きにしたものです。
本書の著者は、80対20の法則よりも、もっと小さな変化が大きな変化をもたらすと言います。多くの事例を取り上げてそれが証明されています。
著者は、ティッピング・ポイントへ至るのは、少数者の法則、粘りの法則、背景の力の、3つ力があるといいます。
正直に言うと、粘りの法則についてはちょっと物足りなく感じますが、これは現場で商売をしている私たちの方がもっと知識がありますから、まあ、いいでしょう。
ちなみに、私のネタ元です。ノウハウの裏付けに使わせてもらっています。