マーケティングというと、広告宣伝などのプロモーションのことと誤解されがちです。しかし、広告宣伝はマーケティングの一部でしかありません。広告宣伝が戦術だとしたら、マーケティングとは、どうやったら売れるかという戦略を作ることです。
ここで紹介するうち、2冊は有名な本です。私のような個人がこんな有名な本を宣伝しても何のウリにもならないのですが、それでもこの2冊が大変な勉強になることは否定できません。マーケティングの本を何十冊読むより、この2冊だけ読んだ方がはるかに勉強になります。誤解を恐れずに言えば、他のマーケティング書に書いてあることは、全てこの本の「パクリ」と言って差し支えありません(それが悪いといっているわけではありません)。
忙しいあなたには、何冊も本を読んでいる時間はないでしょう。実際、本を読むより、現場を見たり、街を歩く方が、はるかに勉強になりますからね。でも、以下に取り上げる本については、読んでおく価値があります。
コトラーの戦略的マーケティング
著者:フィリップ・コトラー
出版社:ダイヤモンド社
マーケティングの第一人者、コトラー博士の著書です。本来なら「マーケティング・マネージメント」をお勧めするべきですが、高価な上に、ページ数が膨大で、たぶん、途中で挫折してしまうでしょう。「マーケティング・マネージメント」が学生向けの教科書という位置づけなのに対し、本書は実務に携わる人を対象に書かれています。
はっきり言って、難しい本(私にはそうでした)ですが、役に立つことが満載です。自分に合うこと一つを試してみるだけでも十分に効果を実感できるでしょう。
ONE to ONEマーケティング
著者:D・ペパーズ+M・ロジャーズ
出版社:ダイヤモンド社
ONE to ONEマーケティングとはぶっちゃっけていえば、お得意さんを大切にしようという当たり前のことです。現場の人間にとっては言うまでもないことですが、本書ではそれを理論武装するスキルを与えてくれます。お得意さんを作るために現場がやっていることを整理してくれています。今のマーケティングの主流の考え方ですし、私も大きな影響を受けています。
ゲリラ・マーケティングEX
著者:ジェイ・C・レビンソン
出版社:東急エージェンシー
コトラーの本は勉強になるとは思うのですが、書いてあることを実践できるかと言うと、まずほとんどの人は無理でしょう。
コトラーの本のようなことができるとしたら、それは大企業でマーケティング担当者がいるところだけです。日本にある99%の会社にはマーケティング担当者などいません。私の会社にもいませんでした。
コトラーの本はどちらかと言うとマーケティングを考える上での基礎体力をつけるようなものです。いろいろなツールがこの本には紹介されていますが、まあ、これを実践できる人はよほど暇な人でしょうね。
ゲリラマーケティングEXは、普通の会社が実際に使えるマーケティングの知識を提供してくれるものです。同じ著者の本に実践的ゲリラマーケティングと言うのもありますが、こっちは1ページあたりの文字数が多い上に、ページ数も膨大です。具体的なプロモーション手段まで触れているのでこのページ数は納得できるのですが、事例が米国の事例ですから、どうやって日本流に応用するかを考えなければなりません。非常にいいことを書いているのですが、後半を読んだとき、日本じゃ使えないという印象を持ってしまいかねません。実践的ゲリラマーケティングに行く前に、まずはゲリラマーケティングEXを読んでみてください。そんなに分厚い本ではありませんから、読むのにそれほど時間はかからないでしょう。
事例はタイトルどおり、個人事業者、中小事業者のためのマーケティング手法ですから、すぐに実践できるノウハウが満載です。