「商品を好きなヤツは使えない」
財務屋やコンサルタントは「商品を好きなヤツは使えない」と言います。
しかし、コレは間違っています。
商品が好きでなければ、勉強しようと思わないし、勉強しなければ商品を見る目は養われません。商品を見る目がなければ、お客様が買ってくれるかどうかわかりません。
商品が好きでなければ、商売で成功するのは難しいと言えるでしょう。
私も、店長をやっていたときは、1年中、毎日、毎時間、商売のことを考えていました。自分の趣味にも商売との関連を見つけ出すような生活を送っていました。サービス休日出勤や、サービス残業も苦になりませんでした。
こんなこと、好きじゃなきゃできないですよね? 自分の時間を削ってまで仕事をするなんて、好きじゃなきゃやってられませんよね?
ましてや上司に言われてできることじゃありません。
財務屋が作った店長マニュアルには、店長の仕事の1日のモデルが書いてありました。それによると、店長は13時間働くことになっていました。現実にはそれ以上働いていたんですが、わざわざこんなふうに書かれると、「労働基準法はどうなっているんだ」と言いたくもなりますわね。
商品を嫌いだと悪影響が…
それに社長や店長が商品を嫌いだとスタッフに悪影響があります
私がいた会社の財務屋社長は「俺はパソコンが嫌いだ」と公言していました。若い社員は「パソコン屋の社長がパソコンが嫌いで務まるんですか?」と尋ねてきました。私は答えることができませんでした。
社長がこう言い出すと、店長の中にも「俺もパソコンは嫌いだ」と言い出すヤツが出てきました。
それまで、この会社は「パソコンが好きなヤツ」が力を持っていたのですが、社長の一言で立場が逆転したのです。
「会社をダメにしたのは、自分の趣味でやっているパソコン好きの奴らのせいだ」と言う雰囲気になったのです。
パソコン嫌いは年齢が高く、パソコンがよくわからない人が多いです。そのため、何か提案しようにも、「素人が何を言っている」と言う雰囲気があって、言い出せなかったようです。
ところが、社長がこう言い出したので、会社を動かしている人間が「アンチパソコン好き」で固まってしまいました。
こうなると「パソコン好き」は居場所がなくなります。ましてや現場の店長が「パソコン嫌い」だと悲惨です。
それまで「パソコン嫌い」の店長は、「パソコン好き」の部下の言うことを聞いてやるしかなかったのです。しかし、今や彼らは「戦犯」です。「戦犯」がどういう扱いをされるかは言うまでもないですよね。
でも、「戦犯」たちは「商品が好き」なのです。商品が好きだから、誰に言われなくてもサービス残業するし、サービス休出するわけです。もちろん、法的にはヤバいです。
しかし、これだけの情熱のある人間がいなければ「いい店など作れない」と言うのが現場の店長としての私の本音です。
もし、あなたが「商品を嫌い」なら、なおさら「商品を好きな人間」を大切にしてください。それと、必ず好きになる努力をしてください。
商品を好きになる方法
人間、自分の好きなことを仕事にできるわけではありません。むしろ、嫌いなことをしなければならないことがほとんどです。
それなら、好きになるための努力をするべきではないでしょうか?
ただ「好きになる努力をするべき」だけでは無責任ですので、どうやったら好きになれるか、2つ方法を提案しておきます。
この方法を知っておけば、どんな商品を扱うことになっても好きになれます。だから、このテクニックは「自由になるためのテクニック」と言えるでしょう。
自分で買って使ってみる
家電一筋だったあるセールスマンは、パソコンを買った後、年賀状作りに使って一つのハードルを越えました。
多くの商品は、自分で使ってみなければ良いも悪いもわかりませんよね。
重要なのは自分の金を出して買うことです。店長クラスになると「もらえる」ことがあるようですが、「もらう」のでは話になりません。タダでもらった場合、使わなくても損をしないからです。
あなたが商品を嫌いな場合は、金を出して買わなければ、絶対に使うことはありません。使わなければ好きになるわけがありませんよね。
そもそも自腹で買うからこそ、買う人の気持ちがわかるのです。お客様の気持ちを知るのにこれほど確かな方法は他にありません。
使命を持つ
あなたが男性で、婦人服を売っている場合は、自分で買って使うことはできませんよね。趣味があれば別ですが。
この場合は、「使命を持つ」方法が有効です。
具体的に言えば、「自分の商品で、お客様のどんな役に立ちたいのか?」を考えることです。要は、自分の仕事、商品にプライドを持つための目的を考えることです。
「消防士は、なぜ危険な現場に立ち向かえるのか?」と言うと「使命感」です。間違いなく、金のためではありません。人間、金のために死ぬことはできないのです。また、名誉のためでもありません。危険な現場から人を助け出すのは彼らの仕事なので、人命救助は当たり前のことで、特別に賞賛されることではないのです。
自分の仕事が、世のため人のためになると言うプライドがあるから、消防士は危険な現場に立ち向かえるのです。
あなたも、自分の仕事や商品が、どう世のため人のためになるかを考えてみたらいいと思います。
たとえば、あなたが男性で婦人服を売っているなら「地域のご婦人(お嬢様)を美しくする」と言う使命はいかがでしょうか?
こういう使命があれば、仕事も広がりますよね。服を売るだけ(コーディネートも含めて)ではなくて、服に合わせたメイクや、アクセサリーを提案するなんてこともやらなければならないはずです。
このプライドを満たすためには勉強しなければなりません。だから、勉強しているうちに、商品を好きになってしまいます。
ちなみに、私の場合、「パソコンは自分の能力の限界を拡大してくれる機械だ」と思っていました。「能力の限界に悩んでいる人に、それを突破する方法を提供する」と言うのが私のパソコン販売の使命でした。
これは私の実体験から来ています。もし、パソコンがなかったら、作文の苦手な私が文章など書けなかったし、暗算のできない私が統計分析などできなかったでしょう。
今の私がホームレスにならずにいられるのはパソコンのおかげなのです。
商品を好きになるのが成功への近道
商品が嫌いということは、お客様がわからないということなのです。お客様がわからない社長や店長が成功できるわけがないです。
あなたが商売で成功したいなら、商品を好きになるのが近道と言えるでしょう。
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