ヤマダ電機もビックカメラも実はそうなんです。
おはようございます、パワー店長養成講座の小宮秀一です。
現金問屋を使えばお店を急成長させることができます。
私のいた家電量販店の業界にはそうした例がたくさんあります。
’90年代、ステップというディスカウンターがメディアのスターになりました。
「5つのNo」というコンセプトを打ち出して、返品や交換、接客、サービスなどをしない代わりに安く売るというやり方をしました。
「価格破壊」と言う当時のトレンドに乗っていたため、経済紙を中心によく記事になっていました。
元々はナショナルショップ
元々ステップは千葉県の行徳で商売をしていたナショナルショップでした。
ナショナルショップとは松下電器(当時)の商品の専門店です。いわゆる街の電気屋さんです。
当時、街の電気屋さんは量販店の仕掛ける安売りで苦戦していました。
ステップも量販店の攻勢にさらされていて、売上は落ちる一方でした。
「このままだと廃業しかない」ところまで追い込まれて、社長は決断します。
「価格で勝負するしかない」と。
現金問屋から商品を仕入れて安売りしました。
すると、カンタンに売上が上がりました。
わずか1週間で3ヶ月分の売上が上がったのです。
ステップはナショナルショップを辞め、通販を中心としたディスカウンターへ転身します。
そしてこの社長、松下電器への不信感からメーカーを敵視するようになります。
「5つのNo」は、「お客は安けりゃ買う、サービスなんか関係ない」という、恨みから生まれたモノなのかもしません。
ステップが消えた理由
ステップは、派手に市場に登場し、急成長し、メディアのスターになりましたが、わずか数年で倒産してしまいました。
その理由は極めて単純です。
ステップの社長は安売りの素人だったからです。
私がよく言っているように「安売りはバカでもできる。しかし、バカが安売りしたら破綻する」の代表例です。
成長の陰に現金問屋あり
ただ、ステップが短期間に成長できた背景には、現金問屋があったという事実は忘れてはいけないと思います。
つぶれかけの弱小家電店が立ち直ったばかりか、その後の急成長を支えたのは現金問屋だったのです。
ところであなたは疑問に思いませんか?
なぜ、メーカーから直接仕入れるより、現金問屋のほうが安いのでしょうか?
現金問屋が成り立つ仕組み
多くのメーカーは、達成リベートを設定しています。「この金額以上仕入れたら、○パーセントお返しします」と言う契約です。
このハードルは非常に高いものです。大抵店の販売力を越えた数量が設定されています。
それでも量販店は、価格競争力を維持するため、このリベート目当てで無理を承知で仕入れます。
ただ、元々売り切るのがムリな数量です。普通に仕入れるだけでは、過剰在庫を抱え込むことになります。
では、過剰在庫はどうするか?
現金問屋に流すのです。
過剰在庫は現金問屋へ
内緒ですが、私が最初にいた会社では、倉庫に山積になっていた商品が、次の日にはきれいになくなっていた、なんて光景をよく目撃しました。
店は、リベートをもらえることを前提に価格設定します。メーカーから正規に買った価格より安く売ることができます。
現金問屋は、現金で払ってくれますし、自分で商品を取りに来るし、返品なんてうるさいことも言いません。だから、ギリギリの値付けをしてもオッケーなわけです。
あの会社も昔は…
ヤマダ電機は北関東の小さな電気屋だった頃から安売りしていました。その安売りを支えたのが現金問屋です。
また、ヨドバシカメラ、ビックカメラなどのカメラ量販店が家電を売り始めたときも、メーカーとの直接取引きではなく、現金問屋から仕入れていました。
もちろん、彼らは安売りのプロです。しかも、アキバの電気屋以上に。
だから、アキバの電気屋に勝ち目はなかったんです。
え?どうしてかって?
それはココまで読んだらわかるでしょ!
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