値引きを引き出すには大量に買わなければだめだと言われますが、実は、必ずしもそうではありません。それ以外にも値引きを引き出す方法が5つあります。
1. 値切る
メーカーや問屋の営業マンに言わせると値切らない店は多いそうです。
仕入価格ではありませんが、知り合いの会社が、めちゃめちゃ高い送料を払っているのを目撃したことがあります。聞いたら、やはり、言い値で契約しているとのことでした。仁義がありますから、私のいた店の送料がいくらだったかを言うのは控えましたが、「値切ったほうがいいですよ」とアドバイスしたら、すぐに20%安くなったそうです。
また、家電量販店は、バイヤーが値切るだけではなく、現場の人間(店長はもちろん、一社員でさえ)も頻繁に値切っています。
たとえば、「社長の知り合いなんで、ちょっと安くしてくれませんか」とか、「大切なお得意さんなんで」とか、「私の親戚なんで」とか、ことあるごとに「特別な理由」を持ち出しては値切っています。
あるメーカーの営業マンが「親戚が百人いる社員がいた」なんて言ってたことがあります。
2. 現金で支払い、サイトを短くする
私が最初にいた家電量販店は中堅でしたが、支払条件は20日締めの10日払いで、現金で支払っていました。ほとんどの取引先は、締め日になると経理に来て、現金で支払いを受けていました。
次に移ったパソコン専門店は、売上規模は前の会社よりはるかに(100倍)大きかったのですが、支払いは3ヵ月後、手形でした。
そのため、仕入れる量が桁違いなのにも関わらず、仕入価格に大した差はありませんでした。場合によっては、この会社のほうが高いこともありました。当然、達成リベートの額は違いましたけどね。
3. 返品しない
「返品しない」と約束すれば、値引きを引き出すことができます。私たちの業界だと、秋葉原の量販店は、割と平気で返品するのですが、カメラ量販店は、不良品以外の返品はしていませんでした。
返品されると思ったら、メーカーや問屋は、返品のリスクを織り込んだ価格設定をします。これは企業なら当然のことです。
ですから、返品しないという約束をすれば、その分安く仕入れることができるわけです。単純な理屈です。
むしろ、「売れなかったら返品すればいい」なんて考えていたら、「市場を読む力」なんて育つわけがありません。「市場を読む力」は、商売人にもっとも必要なスキルですよね。
だから、例え、会社がどうであろうと、あなたは「売れなかったら返品すればいい」なんて考えてはいけません。「市場を読む力」は、経験でしか育むことはできないのです。
もっとも「返品しない」ことについては、売買契約書に明記するのが本来です。会社として約束したほうがより値引きを引き出せる効果があるのは間違いありません。
4. 商品を自分で取りにいく
物流コストは、メーカーや問屋にとってもバカになりません。商品を自分で取りに行くといえば、値引きを引き出すことができます。もっとも、コストは慎重に見極めてくださいね。
5.B級品を買う
B級品とは、私がいた業界でよく使われている言葉です。
狭い意味では、微少なキズや製造上の欠陥によって品質検査で不合格となり、新品では出荷できない品質・性能ですが、通常使用においてはほとんど影響がない品質の製品を指します。
広い意味では、荷崩れなどでパッケージが汚れたり破損した商品や、販売後の初期不良で返品になった商品を工場に戻し、修理・品質検査後に出荷販売する商品もB級品といいます。
他の業界なら、店からメーカーや問屋に返品された商品もこの分類に入れていいでしょう。
ちなみに、通常商品のことは、A級品と言います。
いわゆる曰くつきの商品と言う奴です。B級品は、A級品よりもはるかに安く買うことができます。
「日本人は品質にうるさいからB級品は売れない」と言いますがそれは嘘です。新品と偽ってB級品を売りつけられるのはいやですが、わかった上でなら、「安くなるならそれでもいい」と言うお客様は少なくありません。
本当は、品質にうるさいのは売る側なのです。クレームが怖いから嫌がっているというのが本当のところなのだと思います。
B級品は引き取り手がないので、買う気を見せればいくらでも安く買い叩けます。
この事実、商売をしていて知らない人はいません。でも、扱う店は少ないです。それには2つの重大な理由があります。
第一は、商品管理が煩雑になることです。
例えば、パッケージが壊れている商品なら、壊れたままの陳列するよりパッケージから出して陳列した方がいいでしょう。それだけ手間がかかります。従業員にも負担をかけることになります。
他店で売れ残っただけの商品ならそんな手間はなさそうですが、別な問題があります。
正規品と区別しないとデータが使い物にならなくなります。価格が違うなら別なものとして扱わないと単品管理の精度に影響を及ぼします。
単品管理は、同じ商品は同じ価格で売っていると言う暗黙の大前提があるのです。これが崩れると単品管理は崩壊してしまいます。コンビニが賞味期限間近の弁当を安く売って処分しない大きな理由がこれです。
第二に、B級品はいつ手に入るかわからないので、販売計画が立てられないことです。多くの店は1週間単位で販売計画を立てています。しかし、1週間後にB級品が手に入るかなどわかるわけがありません。ひどいときは、土日の一番忙しい時間帯に入ってくるなんてことも珍しくありませんからね。
B級品を扱うのだったら、負担の増える従業員に理解を求める必要があります。また、販売計画を日単位に変更する必要があります。これは店長や売場責任者の負担になります。
こうしたことができるのであれば、B級品を扱わない手はありません。B級品を扱えば、大手でも真似できない価格を打ち出すことができます。これはあなたの店にとって、大きなウリになるはずです。
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