哲学的な話をしようというのではありません。私はその手の話からはもっとも遠くにいる人間ですのでご心配なく。
80%の商売人は「安く売るにはどうしたらいいか?」と考えがちです。これでも別に悪くはありませんが、安売りは手段であって目的ではありません。何か達成したい目的があって、それを実現する方法として安売りがあるということは忘れないでおきましょう。
なぜ安売りするのでしょうか?そして、何のために安売りするのでしょうか?
価格競争に対抗するため?イベントのため?お客様に喜んでもらうため?お客様を集めるため?売上を上げるため?薄利多売で儲けるため?
安売りだけに限りませんが、目的が曖昧なままだとろくな結果になりません。何のために安売りをするのか?そして、この安売りで何を得たいのか?目的をはっきりさせた上で安売りをはじめるべきです。
ライバル店の価格に対抗するためと言うのも立派な目的です。集客商品で差を付けられると集客力が落ちますし、利益商品で差を付けられると、顧客の獲得と維持に響いてきます。
顧客の増減は、顧客の購買履歴を管理してないとわかりません。しかし、利益商品で価格差をつけられると、確実に売上に影響があります。私たちは、動きが派手な商品に注意が向きがちで、利益商品のような動きが地味な商品はどうしても軽視しがちです。しかし、利益商品の多くはリピート購入される商品です。むしろお客様は、こうした商品の価格にこそ敏感なのです。
たとえば、パソコン本体は1年で早々買い換える商品ではありません(オタクを除く)。パソコン本体の価格に敏感なのは買うときだけで、それ以外の時期は全く興味はないでしょう。しかし、よく使うプリンタ用紙、インク、DVD-Rなどはよく買うものだけに価格には敏感です。購買頻度が高い商品ほどお客様は価格には敏感なのです。
従って、ライバル店の価格に対抗するのは、一見後ろ向きのようですが、決して軽視してはいけないことなのです。
お客様が来ない店の場合、安売りの目的はお客様を集めることです。
お客様を集めるための安売りは中途半端ではいけません。特に少なからぬ広告宣伝費をかけるなら、「チラシは入れました、でもお客様は来ませんでした」では済まされません。普段よりちょっと値引きした程度の商品では今時のお客様は動きません。それではチラシに目も留めてくれないでしょう。明らかに安いと感じさせる価格、あるいは価値を提示しなければなりません。
それだけのインパクトのある価格を出すのは普通は困難です。多くの場合、店で赤字をかぶる覚悟が必要です。
もちろん、赤字で売るなら、儲けを上げる仕掛けみを作っておく必要があります。それがなければ未来に待っているのは倒産です。
ポイントカードは必須でしょう。もちろん、今はあらゆる店がポイントカードを発行していますので、お客様もカンタンにはカードを作ってくれません。大きなメリットがない限り、お得意さんでさえ持ってもらうには苦労します。
しかし、赤字で売るような特別な商品なら、購入条件にポイントカードの発行を入れればいいのです。これならみんな作ります。損をするのですから必ずメリットを得なければ商売ではありません。
ポイントカードについては何度も書いてますのでこれ以上書きませんが、ポイントカードの運用にもやり方があるのです。
ポイントカードを発行したことだけで満足している店が多すぎます。そんな店が「ポイントカードは効果がない」とたわ言を抜かしやがるのです。それはやり方が悪いんです。
また、イベントとして安売りをすることもあるでしょう。タイムセールなどはその典型です。こうした安売りはお客様が行列を作らないと盛り上がりません。当然、お客様の多い時間単に実施するのは常識ですが、今ならメールで告知する方が効果的です。メールなら今日急に手に入った商品でも告知できますからね。
あなたも安売りするなら何よりもまず、なぜ安売りするのか?そして、安売りしてどうしたいのか?を考えてください。私たちの目的は安売りすることではないはずです。
安売りするために大量に仕入れるのではなくて、大量に売るから安く仕入れることができるのです。まずは大量に売ることを考えるべきです。価格競争力は重要ですが全てではありません。重要なのは大量に売ることができる販売力なのです。