お客さんが買わないのは、お客さんの欲しがる商品がないからです。売れない原因はこれなのです。売れる店を作るにはこの原因への対策を立てればいいわけです。
つまり、売れる店を作るには、「お客さんの欲しがる商品を用意すればいい」のです。
「そんなこと、お前なんかに言われなくてもわかってる。売れ筋を揃えればいいんだろ?」
こう思った人は違います。なぜなら、売れ筋=お客の欲しがる商品とは限らないからです。
実は、多くの店作りノウハウが軽視しているのが、この「お客さんの欲しがる商品を用意する」と言う視点です。それは当然です。「お客の欲しがる商品」がピタッとわかれば商売は成功間違いなしです。もちろん、そんなことありえないので、誰も正面から取り上げないのです。幸い、私には失うものはないので真正面から取り上げることができます。
さて、まずキャリアのある店長でさえ勘違いしてしまうことから片付けます。
「お客さんの欲しがる商品」とは、決していわゆる「売れ筋」のことではありません。売れ筋さえ揃えておけば売れるでしょうか?
残念ながら商売はそんなに甘くはありません。実は、私がいた店、最後の2?3年、会社は徹底した売れ筋志向でした。「売れるものだけおいておけばいいんだ」とは当時の財務屋社長の言葉です。店は売れ筋だけに特化した店になりました。
さて、その結果は?
売上は、坂道を転がり落ちるように落ち続けました。
実は、売れ筋を揃えても売れない理由は明らかです。売れ筋とは、例えPOSシステムのデータであっても、所詮過去の話なのです。人間、あとからなら何だって言えるのと似ていますね。
パソコン業界には、「今日の売れ筋、明日の死に筋」と言う言葉があります。変化の激しいパソコン業界では、昨日まで売れていた商品が、今日突然売れなくなることなど珍しくありません。それなのに、売れ筋と言う過去の話を基準にされた日にゃ、お客さんに見捨てられるのは当然なのです。
財務屋が構築した売れ筋志向のシステムは実績重視でした。先週10台売れたものは10台仕入れることができますが、1台しか売れていないものは1台しか仕入れることはできません。
その1台しか売れていない商品が、値下げで価格競争力が上がっても、1台以上仕入れることはできません。なぜなら、過去の実績がないからです。先週の販売台数以上仕入れることができないわけです。
そもそも、先週の販売台数しか仕入れることができなければ、先週の売上を上回ることは不可能ですよね。学歴のない現場の人間でさえわかることが、高学歴の社長をはじめとする幹部たちが気づかないのはこっけいですらありました。こんなやり方じゃ、売上などあがるわけがありませんよね。
こんなシステムが出来上がったのは、財務屋が現場を信用していなかったからです。
この会社は、在庫を抱えすぎて債務超過に陥りました。だから、現場を信用しなかったのでしょう。しかし、大量に仕入れたのは現場ではありません。店からの発注は、物流センターには納品できないので、店に置くしかありません。店で持てる在庫などたかが知れています。物流センターに大量の在庫を抱え込んだのは商品部がやったことで、現場のあずかり知らぬことです。
事実、売上は上がっていて、店単独では、多くの店舗が黒字だったのですから、店がこれほどバカにされる理由はないと、私たちは思っていました。「これだけの売上を作ったのは俺たちだ」と言う自負もありましたからね。
変化の激しいのはパソコンだけではありませんよね。今は、どんな業界だってそうですよね。そんな商売の現実を考えれば、「売れ筋」と言う過去の結果には、大して意味などないのです。だから、売れ筋を揃えたって売れないのです。
では、お客さんの欲しがる商品とはどんなものなのでしょうか?
実は、これはあなたの店によって異なります。もっとも、異なると言ってもわずか2種類です。店には2種類のタイプがあって、あなたの店がどちらかによって、お客さんの欲しがる商品は変わってきます。
その2種類ある店のタイプとは?
それは次回。
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