2017年6月1日から酒の安売り規制が強化されました。
今回の法改正では厳しい罰則があります。
なんと、採算を度外視した安売りをすると酒類免許が取り消されてしまうのです。
採算を度外視した安売りとは?
たとえば仕入価格より安く売るとかです。
もしかして「なぜ、そんなバカなことを」と思います?
採算を度外視した安売りをする理由
なぜ、採算を度外視した安売りをするのでしょうか?
それは、お客様に店に来てもらうためです。
どうして酒を安売りするとお客様に来てもらえるのでしょうか?
チラシに掲載したとき、お客様の目にとまりやすいからです。
あなたはどんな商品も安売りしたら売れると思っていませんか?
そんなことはありません。お客様は安いから買うのではありません。ほしいから買うのです。
安売りが成立するためには、お客様が相場を知っている必要があります。
たとえば、ビール6本セットで898円とチラシに載っていたとしたら、あなたはどう思います?
あなたが普段ビールを買っている人ならコレが「安い!」とわかるでしょう。
人は消費頻度、購買頻度が高い商品ほど、価格に敏感になるからです。
どこで儲けるのか?そしてどこで儲けないのか?
採算を度外視したら儲からないと思いますよね?
確かに、898円のビールだけ買われたのでは赤字です。
しかし、そういうお客様は10%もいません。
90%以上のお客様は、他の商品も一緒に買ってもらえるし、また、店もそのための工夫をするわけです。
どこで儲けるのか?そしてどこで儲けないのか?
ココが店の商売の醍醐味です。
この規制の狙い
この規制の狙いは町の酒屋さんを守るためだと言います。
イヤ~、なんともうらやましい。政府に守ってもらえるなんて。
電気屋なんか、採算を度外視した安売りなんか、誰も気にしません。
町の電気屋さんは誰も守ってくれませんでした。最後は守ってくれると思ったメーカーにも裏切られて。
しかし、大手家電量販店はもうメーカーが太刀打ちできるものではなくなっていたのです。
私がパソコン専門店の店長だった頃、大手の家電量販店は採算度外視でパソコンを売っていました。
パソコンブームだったので安くすればカンタンにお客様を集めることができたのです。
パソコンを売って利益を出さなければならない私たちにしたらたまったものではありません。
栄枯盛衰
でも、それでよかったと思います。
私がいたパソコン専門店チェーンは結局廃業してしまいました。
しかし、巨大家電量販店のおかげでパソコンの価格は下がり、市場は拡大しました。
もし、政府が町の電気屋さんや、町のパソコン屋さんを守っていたら、パソコンの価格は下がらず、1兆円売る電気屋が誕生することもなかったでしょう。
町の酒屋さんには守るに値する価値があるのですよね?
だったら、町の酒屋さんのイノベーションに期待しています。
「誰かに守ってもらわないと生き残れないなら、もう死んでいるのと変わらない」と言われないように。
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